40代前半の男性です。
M字部分とテッペンの髪の毛が薄くなり、地肌が見え始めていました。
下のイラストのような感じです。
典型的なAGA(男性型脱毛症)です。
そのカツラメーカーが勧めるシャンプーを使用すると薄毛が解消されると言われ、2年ほど使用していましたが、全く改善がみられませんでした。
シャンプー以外にも、定期的に店舗を訪れ、マッサージを受けたり、特殊な器具で頭皮に光をあてたりというような施術もしていました。
お金も全部で100万円近く使ったそうです。
脱毛症にはいくつかの種類があり、それぞれに発症メカニズムが違います。
だから、治療法も違うし、使用する育毛剤も異なります。
成人男性の薄毛のほとんどは、AGA(男性型脱毛症)という脱毛症です。
前頭部と頭頂部の髪の毛が薄くなっていきます。
一方、側頭部や後頭部、髪の毛以外の部分で脱毛が発生することはありません。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンが関与した脱毛症です。
男性ホルモン「テストステロン」と酵素「5αリダクターゼ」が結合し、男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」がつくられます。
そのDHTが受容体「アンドロゲンレセプター」に結合すると、成長因子「TGF-β」がつくられます。
TGF-βは髪の毛が抜けるように指令をだし、その結果、ヘアサイクル(髪の毛の寿命)が短くなります。
AGAは、髪の毛の寿命を短くする脱毛症なのです。
AGA(男性型脱毛症)の発症・進行を抑制することができる成分は、2018年1月現在、フィナステリドとデュタステリドしか存在しません。
両方の成分の基本的な作用メカニズムは同じで、DHT(ジヒドロテストステロン)の血中濃度を低下させます。
ほぼ100%に近い確率で、AGAの発症を抑制することができます。
つまり、これ以上髪の毛が薄くならなくなる訳です。
だだし、発毛効果はありません。
AGA治療では、フィナステリドかデュタステリドが主成分の育毛剤と、発毛効果のある成分が含まれている育毛剤を併用するのが効果的です。
最近では、標準的な治療法になりつつあります。
AGA(男性型脱毛症)はシャンプーでは治せません。
誤解のないように補足すると、AGAに効果のあるシャンプーは存在します。
科学的な根拠があるので、医薬品として承認されています。
ただし、シャンプーだけでは、AGAの発症・進行を抑制することは不可能です。
あくまで、補助的な役割しかありません。
知り合いが某カツラメーカーから紹介されてシャンプーは医薬部外品です。
この時点で、AGAが治る訳がありません。
そのシャンプーに使用されている成分は、以下のとおりです。
某カツラメーカーから紹介されてシャンプーの成分
(有効成分)グリチルリチン酸2K、ピロクトンオラミン
(その他の成分)POEラウリルエーテル酢酸Na、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンNa、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、POEセチルエーテル、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド液、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液、メントール、ユーカリ油、N-カプリロイルアシルグリシン、米抽出物加水分解液、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、グリコシルトレハロース・水添デンプン分解物混合溶液、加水分解ヒアルロン酸、ムクロジエキス、イソステアロイル水解コラーゲンAMPD塩、DPG、グリセリンエチルヘキシルエーテル、トリオクタン酸グリセリル、ホホバ油、アスパラギン酸、シャクヤクエキス、シア脂、オウバクエキス、ラベンダー油、オレンジ油、ハッカ油、チョウジ油、フェノキシエタノール、クエン酸
「有効成分」とは、医薬部外品の表示に表示されるもので、効力をもつ成分のことです。
シャンプーの場合は、髪の毛の良い影響を与える成分のことです。
「その他の成分」は、あまり影響力のない成分のことです。
有効成分のグリチルリチン酸2Kには、抗炎症作用や抗アレルギー作用、殺菌作用などがあります。
頭皮環境を良くする効果はありますが、AGA(男性型脱毛症)に対しては全く効果がありません。
もうひとつの有効成分ピロクトンオラミンは、殺菌薬として、よく育毛シャンプーに配合される成分です。
もちろん、AGAに対しては全く効果がありません。
某カツラメーカーから紹介されたシャンプーは、一般的に市販されているシャンプーと同じような成分が使用されています。
AGA(男性型脱毛症)はシャンプーでは治せないと思って下さい。
医薬品や施術による医療行為でなければ、薄くなってしまった部分から髪の毛を生やすことは難しいのが現実です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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