発毛・育毛について、いろいろと調べたことのある人は、1回くらいは聞いたことがある有名な都市伝説です。

1894年、カイオワ族
インディアンはハゲない!
これは、元々、シャンプーを販売するためのチャッチフレーズです。
インディアンにハゲがいないのは、特別な成分が入っているシャンプーを使っているからです。
だから、その成分が入っているこのインディアンシャンプーを使うとハゲません、というものでした。
これは全くの嘘です。
発症者の多い脱毛症、AGA(男性型脱毛症)やびまん性脱毛症、円形脱毛症はシャンプーでは治りません。
これらの脱毛症は、男性ホルモンの増加や女性ホルモンの減少、自己免疫疾患などが主な原因と考えられているからです。
脱毛症は、種類にもよりますが、基本的には遺伝の要素が非常に大きいのです。
インディアンシャンプーは、いつも間にか、販売が中止されてしまいました。
恐らく、効果がなかったからでしょう。
でも、「インディアンはハゲない!」ということに関しては、嘘ではありません。

1880年~1890年、タオス・プエブロ族
インディアンとは、南北アメリカ大陸に住んでいた先住民の総称です。
インディアンと言っても、非常に多くの種族が存在しました。
アジア人に近い種族から、ヨーロッパ人に近い種族まで、様々な部族が存在していました。
1492年に、ポルトガルのクリストファー・コロンブスが、ヨーロッパ人として、初めてアメリカ大陸に到達しました。
それ以来、多くのヨーロッパ人が移り住んできました。
あと、アフリカ人も。
16世紀から19世紀後半くらいまでの古い文献には、「インディアンの薄毛率は1%未満」とか「インディアンにハゲはいない」などという記述がいくつか残っています。
当時のインディアン、特に見た目がアジア人に近いインディアンに、ハゲが極端に少なかったのは事実です。
ただ、まったくハゲがいないという訳ではなかったようです。
インディアンもAGA(男性型脱毛症)になりハゲてしまった人も、少数ですがいたようです。
ちなみに、現在のアメリカ合衆国の成人男性の薄毛率は39%です。
これより、遥かに薄毛率が低かったのは間違いありません。
だから、「インディアンはハゲない!」という事は、半分くらいは本当であるとも言えます。
2003年のアメリカ合衆国国勢調査によると、インディアンの人口は2,786,652名でした。
このなかには、白人などとの混血も多くいます。
人口の約6割弱が都市部で生活しています。
AGA(男性型脱毛症)の発症率は、やはり平均よりは低めです。
部族にもよりますが、遺伝的にハゲない(にくい)ということは間違いありません。
それでも、昔の記録に書かれているより、AGA発症率はあがってきています。
生活環境の変化も影響を与えている可能性があります。

1899年、アパッチ族
インディアンが主に食べていたものは、バッファローやトウモロコシ、豆、カボチャです。
これらは髪の毛をつくる3大栄養素である「タンパク質」「ビタミン」「亜鉛」が豊富に含まれています。
タンパク質は髪の毛をつくるための主材料です。
このタンパク質を髪の毛の主成分である「ケラチン」に変化させるために、ビタミンと亜鉛を多く必要とします。
タンパク質は、バッファローと豆に豊富に含まれています。
多くはありませんが、カボチャにもあります。
ビタミンは、トウモロコシとカボチャに豊富に含まれています。
亜鉛は、バッファローの肉に含まれています。
これらの食生活が髪の毛の成長に影響を与えていたのかもしれません。
エビデンス(科学的根拠)はないので、推測ということになりますが。
インディアンにハゲが少なかった理由を科学的に解明することができれば、AGA(男性型脱毛症)などの脱毛症の治療は、更に進歩するでしょう。
脱毛症は、まだ解明されていないことが多いのです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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