男性型脱毛症診療ガイドライン、AGA治療法の格付け

薄毛の成人男子のほとんどは、AGA(男性型脱毛症)という脱毛症です。

前頭部と頭頂部の髪の毛が薄くなっていき、最終的には下のイラストのような感じになります。
前頭部と頭頂部がハゲあがってしまうのに対して、側頭部や後頭部の髪の毛はフサフサのままというのが特徴です。


20161127.png


AGA(男性型脱毛症)は非常に発症者の多い脱毛症です。
15歳以上の男性の32%がAGAという調査結果もあります。
単純計算で、約1,700万人がAGAを発症しているということになります。
実際に、その位はいると思います。

AGAの治療法は、ある程度確立されています。
現在、医師がAGA治療をおこなう場合には、「男性型脱毛症診療ガイドライン」を参考にしています。







男性型脱毛症診療ガイドラインとは、医療的観点からAGAの治療法を格付けしたものです。
治療法を効果と安全性の観点から、5段階(A、B、C1、C2、D)で評価しています。
日本皮膚科学会が2010年4月に発表したものです。

ガイドラインの策定は、日本皮膚科学会と毛髪科学研究会が共同で行っています。
論文による実績を基に作成されているので、かなり信頼の高いガイドラインです。


日本皮膚科学会とは、公益社団法人で、1900年に創立の皮膚科に関する学会です。
「日本皮膚科学会認定専門医」の認定を行っています。
いろいろな研究や活動も行っています。

毛髪科学研究会とは、毛髪および毛髪疾患の研究を推進させることを目的として1993年に設立された団体です。
皮膚科医を中心に、毛髪疾患に興味を持つ臨床医と基礎医学分野の研究者が集まって、いろいろな研究会を行っています。


男性型脱毛症診療ガイドラインは、実際にAGAの治療をおこなっている皮膚科医が中心になって作成したものなのです。


20161227.png


男性型脱毛症診療ガイドラインのA評価の治療法は、「フィナステリド内服」と「ミノキシジル外用」です。

フィナステリドとは、薬の名前ではなく、薬の成分の名前です。
有名な薬は、プロペシアやフィンペシアなどです。
1日1回1mgの小さな錠剤を決まった時間に服用します。
なお、フィナステリドの女性の使用は禁止されています。

ミノキシジルも、薬の名前ではなく、薬の成分の名前です。
有名なリアップもミノキシジルが主成分です。
育毛剤の種類にもよりますが、ほとんどのものは1日2回、脱毛部分を中心に散布します。

ミノキシジルには、内服薬もあります。
効果は外用薬よりあるのですが、副作用の発生率が高いというリスクがあります。
このため、男性型脱毛症診療ガイドラインでは評価の対処外になっています。


20171126.5.PNG


20171126.6.PNG


私もAGA(男性型脱毛症)の治療をしています。
上の写真は、最近撮影した髪の毛の状態です。
左側が治療開始時、右側が治療開始450日目のものです。

治療法は、フィナステリド内服ミノキシジル外用の併用です。
使用している薬は、フィンペシアとフォリックスFR05です。

これらの薬は、オオサカ堂という個人輸入代行業者から購入しています。
下のバナーをクリックすると、商品のサイトに移動します。








男性型脱毛症診療ガイドラインのB評価の治療法は、「自毛植毛」です。

自毛植毛とは、発毛に必要な自分の細胞組織を採取し、薄毛部分に移植するという治療法です。

髪の毛の下には、発毛に必要な「毛乳頭(もうにゅうとう)」や「毛母細胞(もうぼさいぼう)」があります。
毛乳頭は、血液中から発毛に必要な栄養を受け取ったり、毛母細胞に対して髪の毛を生やすための「発毛指令」をだしたりします。
毛母細胞は、髪の毛の元です。
これらの組織が、移植部分した部分の毛細血管や神経と結合することにより、発毛に必要な組織ができる訳です。

髪の毛が生え揃うまで、通常は半年~1年と言われています。
ただし、個人差があります。

自毛植毛の最大のメリットは、自分自身の生きている発毛組織を移植するので、相当な高確率で髪の毛が生えることと、拒絶反応がないということです。
更に、発毛組織が定着すれば、アフターケアやメンテナンスの必要もありません。

自毛植毛のデメリットは、手術の後に遺症が残る可能性があることです。
代表的な後遺症として、後頭部のつっぱり感があります。
ただし、後遺症に関しては、現在はかなり改善されてきました。

あと、保険が適応されないので、治療費がかかります。
自毛植毛の手術費用の相場は、100万円~300万円程度と言われていますが、クリニックにより違いがあります。



男性型脱毛症診療ガイドラインのC1評価の治療法は、以下のとおりです。
・塩化カルプロニウム外用、
・tーフラバノン外用
・アデノシン外用
・サイトプリン・ペンタデカン外用
・ケトコナゾール外用

これらは、市販されている育毛剤に入っている成分です。
すべて外用になります。

市販の育毛剤は、人によっては効果がでる場合もありますが、医学的には評価されていません。
効果がない場合がほとんどです。


20161211.0jpg.png


男性型脱毛症診療ガイドラインに載っていなくても、効果が期待できる治療法もあります。
育毛メソセラピー」や「HARG療法」です。
これらは比較的新しい治療法ですが、すでに実績があります。


男性型脱毛症診療ガイドラインは、2010年4月に発表した情報です。
すでに情報が古くなっています。
次回の改定時には、新しい治療法も評価されることでしょう。


男性型脱毛症診療ガイドラインは、すでにAGA(男性型脱毛症)の治療をしている人、これから行う予定の人には、知っておいて頂きたい情報です。
そうすれば、怪しい詐欺商法にも騙されにくくなります。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事へのコメント

  • oguri

    なるほど・・・
    これは治療をする場合の参考になりますね。
    市販の育毛剤が効果がないのもわかりました。
    2016年12月29日 03:06
  • taka

    コメントありがとうございます。

    これで詐欺商法に騙される人が減れば良いのですが・・・


    >oguriさん
    >
    >なるほど・・・
    >これは治療をする場合の参考になりますね。
    >市販の育毛剤が効果がないのもわかりました。
    2016年12月29日 07:43

この記事へのトラックバック