この丸く膨らんだ部分を「毛包(もうほう)」と言います。
体中の毛は、この毛包でつくられています。
毛包には、「毛乳頭(もうにゅうとう)」と「毛母細胞(もうぼさいぼう)」があります。
毛乳頭(もうにゅうとう)とは、毛包(もうほう)の一部で、髪の毛の下の付け根の部分にある組織です。
毛乳頭細胞(もうにゅうとうさいぼう)と言われることもあります。
毛乳頭は、血液中のビタミンや水分、酸素などの栄養を受け取り、それらを毛母細胞に渡します。
更に、毛母細胞に対して髪の毛を生やすための「発毛指令」や、髪の毛を抜くための「脱毛指令」を送ります。
薄毛の人ほど、毛乳頭から毛母細胞に対する指令は、発毛指令が少なく、脱毛指令が多い傾向があります。
このようになる典型的な事例は、AGA(男性型脱毛症)です。
AGAを発症すると脱毛部分の毛乳頭は、毛母細胞に対して、発毛指令ではなく、脱毛指令を送るようになります。
AGAの発症メカニズムは、以下のとおりです。
男性ホルモン「テストステロン」と酵素「5αリダクターゼ」が結合し、男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」がつくられます。
このDHTが、受容体「アンドロゲンレセプター」に結合すると、成長因子「TGF-β」がつくられます。
TGF-βがつくられると、毛乳頭は毛母細胞に対して脱毛指令を送るようになる訳です。
脱毛症になると、基本的には、毛乳頭からの発毛指令は以前ほど送られなくなります。
毛乳頭から脱毛指令が出されるようになるのは、AGA(男性型脱毛症)が最も考えられる原因です。
しかし、AGA以外の原因で、脱毛指令が出されることもあります。
毛母細胞(もうぼさいぼう)とは、毛包(もうほう)の一部で、毛乳頭(もうにゅうとう)を囲むようにあります。
毛母細胞は髪の毛の元です。
毛母細胞は毛乳頭(もうにゅうとう)から栄養や指令を受け、細胞分裂をすることで髪の毛となって成長していきます。
分裂した毛母細胞(もうぼさいぼう)は「毛乳頭付近に残るもの」と「毛乳頭から離れていくもの」に分かれます。
毛乳頭(もうにゅうとう)付近に残った毛母細胞(もうぼさいぼう)は、更に細胞分裂を繰り返し、新しい髪の毛をつくります。
毛乳頭(もうにゅうとう)から離れて上に伸びていった毛母細胞は、角質化して髪の毛になります。
髪の毛は、角質化した毛母細胞(もうぼさいぼう)の集まりです。
角質化とは、細胞にケラチンが沈着して硬くなることです。
ケラチンとは、タンパク質の一種で、毛髪・爪・角・羽毛などの主成分です。
角質化した毛母細胞(もうぼさいぼう)はすでに活動を停止します。
細胞分裂をすることはありません。
つまり、髪の毛は死んだ細胞の集まりということです。
髪の毛だけでなく、体毛や爪も角質化して死んだ細胞の集まりです。
髪の毛は、根元の毛乳頭(もうにゅうとう)付近がもっとも新しく、毛先にいくほど古いものになります。
髪の毛は根元にいくほど潤いがあり、毛先にいくほど痛みやすくなります。
髪の毛は角質化した細胞ですでに活動を停止しているので、髪の毛が自己修復することはありません。
トリートメントなどで髪の毛がツヤツヤになり治ったように感じるのは、髪の毛のまわりを化学薬品で覆っているだけなのです。
髪の毛が生えるためには、毛乳頭と毛母細胞が正常に機能している必要があります。
それが行われなくなると、脱毛症が発生します。
脱毛症にはいくつかの種類があり、その種類ごとに発生原因が異なります。
だから、治療法も脱毛症の種類ごとに違います。
脱毛症の治療は、その発生原因を取り除くことが必要なのです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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