髪の毛は生きていると思います?
それとも、死んでいると思いますか?
実は、髪の毛は死んでいます。
正確に表現すると、すでに死滅してしまった細胞です。
髪の毛は、頭皮の下の毛包(もうほう)というところにある毛母細胞(もうぼさいぼう)が分裂してできたものです。
毛母細胞は、細胞分裂を繰り返しています。
分裂した毛母細胞は「その場所に残るもの」と「離れて上にいくもの」に分かれます。
離れて上にいく毛母細胞にケラチンが沈着して角質化(かくしつか)し、髪の毛になります。
角質化(かくしつか)とは、ケラチンが細胞に付着することです。
「角質化(かくか)」とも言います。
細胞はケラチンが付着すると活動を停止します。
つまり、死んでしまった細胞になる訳です。
そうすると、傷がついても治りませんし、病気にかかっても治癒することはありません。
神経も死滅しているので、傷つけたり切断しても、痛みを感じることもありません。
人間の肌の表面の皮膚は、角質化した細胞で覆われています。
部位により、その厚さに違いがあります。
頬は比較的薄く、足裏などは厚みがあります。
髪の毛や爪は、角質化した細胞が構成成分のほとんどです。
死滅してしまった細胞なので、切っても痛みを感じません。
髪の毛を引っ張ると痛いのは、髪の毛自身が痛みを感じているのではなく、頭皮が痛みを感じているからです。
髪の毛は三層構造になっています。
内側から「メデュラ」「コルテックス」「キューティクル」。
一番外側のキューティクルが破損すると、指どとりが悪くなり、艶やコシもなくなります。
毛先にいくほど、髪の毛は破損しやすくなります。
トリートメントやリンスなどをすると、髪の毛の指どおりは良くなったように感じます。
これは化学薬品で表面を覆っているだけで、髪の毛が修復された訳ではありません。
基本的に、体毛はすべて同じ構造です。
構成成分や毛周期に多少の違いはありますが。
健康な髪の毛をつくるための健康な頭皮とは、脱毛症を発症していない頭皮です。
脱毛症にはいくつかの種類があります。
その種類により発症原因が異なり、治療法も異なります。
もちろん、治療に使用する育毛剤も異なります。
発症者の多い脱毛症は、AGA(男性型脱毛症)、びまん性脱毛症(女性型脱毛症)、円形脱毛症です。
この他にもいくつかの脱毛症がありますが、この3種類の脱毛症で全体の90%以上を占めていると言われています。
AGAは、最も発症者の多い脱毛症です。
日本語にすると「男性型脱毛症」になります。
AGAは、頭の前頭部と頭頂部の髪の毛が薄くなっていく脱毛症です。
一方。側頭部と後頭部の髪の毛はフサフサのままです。
AGAは、男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」が増加により、発症・進行する脱毛症です。
DHTは、なぜか前頭部と頭頂部に大量に存在しています。
DHTが増加することにより、髪の毛のヘアサイクルが短くなります。
AGAは髪の毛の生存期間を短くする脱毛症です。
AGAの発症者のほぼすべては、成人男性です。
15歳以上男性のAGA発症者は32%という調査結果もあります。
髪の毛が薄い成人男性のほとんどはAGAです。
びまん性脱毛症は、AGAの次に発症者の多い脱毛症です。
発症者のほとんどが女性なので、「女性型脱毛症」とも言われています。
びまん性脱毛症は、髪の毛が全体的に薄くなっていく脱毛症です。
びまん性脱毛症は、女性ホルモンの減少が大きく関与した脱毛症です。
ただし、その発症メカニズムは解明されていない部分もあります。
女性の薄毛の半分以上(一説には7割以上)が、びまん性脱毛症と言われています。
年配の女性が発症しやすい傾向の脱毛症です。
円形脱毛症は、3番目に発症者の多い脱毛症です。
昔はよく「10円ハゲ」と言われていました。
円形脱毛症は、脱毛部分と健康な部分の境界がはっきりしている脱毛症です。
健康そうに見えていた髪の毛が、急に抜け落ちます。
円形脱毛症は昔から知られていた脱毛症ですが、その発症メカニズムは解明されていません。
アトピー性疾患の人は発症しやすい傾向があります。
また、発症前後に、爪に小さな凸凹ができる場合もあります。
円形脱毛症は、軽度なら80%は1年以内に回復すると言われています。
一方、重度(頭部の25%以上の髪が脱毛)になると、治すのは非常に難しくなってしまいます。
円形脱毛症の治療は保険が適応されます。
なるべく早く皮膚科で診察してもらって下さい。
脱毛症はこの他にも、いくつかあります。
脱毛症を発症していないことは、健康な頭皮の絶対条件です。
幼児や小学生の髪の毛はツヤツヤしてキレイです。
これは、まだ脱毛症を発症していない子がほとんどだからです。
髪の毛をつくるのに重要なのは頭皮です。
健康な髪の毛をつくるためには脱毛症を発症していないことが絶対条件です。
これ以外にも、湿疹や炎症、かゆみ、かさぶた、ニキビ、大量のフケの発生などの頭皮トラブルが発生してなく、頭皮が健康な状態である必要があります。
頭皮だけでなく、体も健康である必要があります。
特に、循環器系の機能は大切です。
普段の生活でも少しだけ気をつけた方がいい、具体的なことは、以下のとおりです。
①シャンプーのやり過ぎ
②紫外線
③物理的なダメージ
まず、シャンプーのやり過ぎには注意して下さい。
これは女性の頭皮トラブルの最も多い発生原因です。
頭皮は皮脂膜という薄い酸性の膜で覆われています。
皮脂膜には、頭皮の乾燥を防いだり、雑菌などの外的から皮膚を守る効果があります。
シャンプーをすると、この皮脂膜が洗い流されて、頭皮は無防備な状態になります。
個人差がありますが、だいたい2時間くらいで皮脂膜は元の状態に戻ります。
シャンプーは1日1回まで、可能なら朝シャンはやめた方がいいです。
また、使用しているシャンプーの洗浄力が強過ぎて頭皮が乾燥するようなら、アミノ酸系シャンプーのような洗浄力の弱いものに変えて下さい。
次に、紫外線にも気をつけて下さい。
大量の紫外線を浴びると、皮膚は火傷に似た状態になります。
そして、毛母細胞(もうぼさいぼう)が損傷し、その機能を著しく低下させます。
紫外線が多い時期は5月~8月、多い時間帯は10時~14時くらいです。
「気象庁の紫外線に関するデータ」より
最後に、頭皮に物理的なダメージを与えてはいけません。
頭皮は大切に扱って下さい。
叩いたり、必要以上に強くマッサージしてはいけません。
毛母細胞(もうぼさいぼう)を傷つける可能性があるからです。
そのような事とすると、脱毛症を悪化させてしてしまうことも考えられます。
頭皮の皮膚は、他の部位と比べると非常に薄いです。
頭皮は人間の体のなかでも、最もデリケートな部分です。
意外と思われる人も多いかもしれませんが、食生活や喫煙・飲酒は脱毛症とは直接的な関係はありません。
少なくとも、これらが原因で発症する脱毛症はありません。
脱毛症で髪の毛が薄くなるのはどうかは、遺伝が大きいのです。
な、なんという無慈悲な・・・
ただし、余りにも暴飲・暴食をして体調を崩した結果、それが間接的に脱毛症の原因になることはありえます。
余りにも偏った食生活や過度の喫煙・飲酒は、さすがに控えた方がいいでしょう。
健康な髪の毛は、健康な頭皮と健康な体からつくられているのですから。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事へのコメント
oguri
知りませんでした。
今日も勉強になりました。
taka
そうなんですよ。
髪の毛は死んだ細胞なんですよ。
だから、髪の毛よりも頭皮が大切です。
>oguriさん
>
>髪の毛は死んだ細胞なのですか。
>知りませんでした。
>
>今日も勉強になりました。