フケが発生するしくみ、乾燥フケと脂性フケ

気がついたら、頭や肩にフケが・・・

毎日シャンプーをしているのに、どうして?


フケが多くて悩んだ事がある人もいると思います。
肩や髪の毛にフケがついていると、相手に不潔な印象を与えてしまいます。
見た目にも、フケはない方がいいですから。

しかし、フケを全く出ないようにすることはできません。

体は常に新陳代謝をしています。
新しい細胞が生まれると、古い細胞は体外に排出されます。
それが垢(あか)やフケなのです。

適量のフケが発生するのは、頭皮が正常な状態ということです。


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参照:毛穴悩みからの解放♡毛穴レスキュー肌再生スキンケア@東京目黒


皮膚は3層構造になっています。
上から順に、「表皮(ひょうひ)」「真皮(しんぴ)」「皮下組織(ひかそしき)」です。

表皮は、皮膚の一番上の層です。
体内の水分などが、外部にでていくのを防ぐ役割と、外部の刺激から皮膚を保護する役割があります。
厚さは約0.2mmです。

真皮は、表皮の下の層です。
熱さや冷たさ、痛みなどを感知する神経があります。
暑い時には汗を出して体温を下げたり、寒い時には立毛筋を収縮(毛を立たせること)して寒さを防ぎます。
厚さは約2mmです。

皮下組織は、皮膚の一番下の層です。
脂肪を多く含んだ組織で、血管や神経、汗腺(かんせん)などを保護しています。
また、体温を維持する役目を果たします。
厚さは2mm~10mmで、頭部や額、顔などは約2mmと薄めです。

表皮・真皮・皮下組織の厚さは、部位によりかなりの違いがあります。
また、個人差もあります。

皮膚のうち、垢(あか)やフケとなり剥がれ落ちるのは、表皮の「角層(かくそう)」の部分です。


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画像引用:NAVERまとめ


表皮は4層構造になっています。
上から順に、「角層(かくそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「基底層(きていそう)」です。

角層は、表皮の一番上の層です。
厚さが約0.02mmと非常に薄いのですが、角層細胞が10層~15層に積み重なっています。
この角層の一番上の層が、垢(あか)やフケとなり剥がれ落ちるのです。

表皮は、構成する細胞の約95%が「角質化(かくしつか)」しています。


細胞に「ケラチン」というタンパク質が付着すると、その細胞は角質化します。
角質化した細胞は活動を終了します。
つまり、「死んでしまった細胞」ということです。
傷がついても治ることはありませんし、除去しても痛みを感じません。

人間の体では、爪や体毛、表皮の大部分が角質化した細胞です。







皮膚の表面は、皮脂膜(ひしまく)という非常に薄い膜で覆われています。
その薄さは、0.5ミクロン(1/2,000ミリ)ほどです。

皮脂膜とは、皮脂と汗が混ざり合ってできる弱酸性の膜のことです。


皮脂と汗は全く違うものです。
皮脂は油に近く、汗は水に近いものです。
皮脂は皮脂腺(ひしせん)から、汗は汗腺(かんせん)から分泌されています。

通常、脂と水は分離して混じり合うことはありません。
コップに入れてかきまわしても、しばらく経つと、 二層に分離してしまいます。
軽い脂は上に集まり、重い水は下に集まります。

しかし、皮脂は簡単に汗と混ざりあいます。
皮脂は非常に濃度の薄い脂からできています。
濃度が薄い脂は、水と混ざり合うことが可能です。

皮脂を人工的につくることは、現時点では不可能です。
こんなに薄い脂をつくることはできません。

皮脂膜は、非常に優れた天然クリームです。
主に2つの役割があります。


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参照:田辺三菱製薬


皮脂膜(ひしまく)の役割は、保湿と外部刺激からの保護です。

皮脂膜には保湿作用があります。
皮膚の水分は蒸発しやすいのですが、皮脂膜がそれを防いでくれます。

皮脂膜が少なくなると、肌は水分を失い乾燥肌になります。
肌が乾燥すると、表皮は剥がれやすくなってしまいます。

洗顔をした後に、化粧水(ローション)と乳液をつけるのは、皮脂膜のなくなった肌を守るためです。
化粧水が汗、乳液が皮脂の役割をしています。


皮脂膜(ひしまく)は外部の刺激から皮膚を守っています。

人間の皮膚は皮脂膜に覆われているため、pH4.5~pH6.0の弱酸性です。
弱酸性の環境は人間にとっては非常に都合がよく、人間に必要な常在菌は繁殖しやすく、悪影響を与える雑菌は繁殖しにくい環境です。

皮脂膜が少なくなると、肌はアルカリ性に近くなります。

洗顔や入浴をすると、皮膚の表面は一時的にpHが6.5~ph7.5ぐらいにまで上昇します。
雑菌が繁殖しやすく、皮膚トラブルも発生しやすい状態です。
でも、安心して下さい。
健康な人なら、皮膚のphは2時間ほどで元に戻ります。


また、皮脂膜には、熱を伝えにくいという性質もあります。
このため、暑さや寒さから守ってくれます。


皮脂の分泌量は加齢とともに減っていきます。
そうすると、体は乾燥しやすくなります。
肌はたるみやすくなり、皮膚は剥がれやすくなります。

このような皮膚の乾燥を補うのが、化粧水やローション、乳液などの基礎化粧品と言われる製品の役割です。


頭皮に関して言えば、皮脂の分泌量が少な過ぎると「乾燥フケ」が発生しやすくなります。
反対に、分泌量が多過ぎると「脂性フケ」が発生しやすくなります。


フケには、「乾燥フケ」と「脂性フケ」の2種類があります。
一般的に言われる「フケ」は乾燥フケのことです。

乾燥フケと脂性フケでは、発生メカニズムが違います。
だから、対処法は基本的には違うのですが、共通する部分も一部あります。

これらの症状は、対処法を誤ると状態を悪化させてしまいます。
注意が必要です。
わからない時には、自己判断はしないで下さい。







乾燥フケとは、サラサラした白い粉錠の乾燥したフケです。
頭皮の表皮(ひょうひ)が乾燥して剥がれ落ちたものです。

乾燥フケの直接的な原因は、頭皮の乾燥です。


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健康な状態の頭皮なら、表皮の角層(かくそう)の一番上の層が自然に剥がれ落ちます。
しかし、頭皮が乾燥してしまうと、表皮の結合力が弱くなり、まだ剥がれ落ちてはいけない部分まで、フケとなり剥がれ落ちてしまうのです。


頭皮が乾燥する原因には、空気の乾燥、アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患などの病気、加齢、女性ホルモンの低下、栄養不足(ビタミンA)、間違ったヘアケアなどがあります。


頭皮が乾燥する原因で最も多いのが、シャンプーのやり過ぎです。

通常、頭皮は皮脂膜(ひしまく)で覆われています。

皮脂膜には保湿作用があります。
頭皮は乾燥すると、乾燥フケが発生しやすくなるだけではありません。
室内のダニやホコリなどが皮膚の真皮(しんぴ)まで届きやすくなり、痒みや皮膚炎をおこしやすく状態になります。

もう一つ、皮脂膜には殺菌作用があります。
皮脂膜には頭皮を弱酸性に保つことにより、細菌感染を防いでいるのです。

シャンプーは頭皮を守っている皮脂膜を洗い流してしまいます。
洗浄力の強いシャンプーを使うほど、皮脂膜は洗い流されてしまいます。

シャンプーは、1日1回までにして下さい。

シャンプーに関しては、以前に書いた記事がいくつかあります。
興味があったら、ご覧になってみて下さい。


シャンプーに関する記事

シャンプーの頻度はどのくらいがいい?

正しいシャンプーのやり方(髪の毛の洗い方)

アミノ酸系シャンプーとは?



乾燥フケの対策として、最初にやる事は、シャンプーの見直しです。
頻度は多過ぎないか、使っている製品の洗浄力が強過ぎないか、やり方は間違っていないか、などです。

あと、パーマや毛染めなどによる薬品が、乾燥フケの発生原因になっていることもあります。
「パーマ液を変えたら、急にフケがでるようになった」という事は時々あります。


乾燥フケがでるようになってからの期間が数日と短く、症状も軽い場合には、保湿効果の高い育毛剤を使用すると改善することがあります。
医薬部外品の育毛剤には、発毛効果はほとんどありませんが、保湿効果はあります。
特に、女性用の育毛剤は保湿効果に優れたものが多いです。


乾性フケがでるようになってから数カ月が経ち、症状も酷い場合には、本格的に治療する必要があります。
放置しておくと酷くなる可能性があります。

乾性フケの治療は、通常は「保湿効果のある薬」と「かゆみ止めの効果がある薬」によりおこないます。

保湿効果のある薬には、ワセリンやヒルドイド、ウレパールなどがあります。
クリームタイプとローションタイプの外用薬になります。

かゆみ止めの効果がある薬には、レスタミンコーワやオイラックス、ステロイドなどがあります。
クリームタイプの外用薬と内服薬になります。
なお、軽度の症状ではステロイドは使わない方がいいケースもあります。

薬を使う時、特に「かゆみ止めの効果のある薬」を使う時には、事前に皮膚科医の診察を受けることをお勧めします。
自己判断で使用すると、誤った判断をするリスクがあるからです。


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乾燥フケが大量に発生することにより、粃糠(ひこう)性脱毛症になることもあります。
発生頻度は低いですが。

乾燥フケが頭皮の毛穴を塞いでしまうと、毛穴の中に皮脂がつまってしまいます。
皮脂が詰まった部分にマラセチア菌が大量繁殖し、「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」という物質を作り出します。
この遊離脂肪酸は皮膚にとって刺激となる物質で、炎症を起こし、抜け毛を発生させます。

これが粃糠(ひこう)性脱毛症の発症メカニズムです。


マラセチア菌とは、真菌であるマラセチア属の総称です。
現在、11種類が確認されています。

マラセチア菌は、人間に皮膚にすんでいる常在菌です。
古い皮脂が皮膚表面に残らないのは、マラセチア菌が掃除してくれているからです。


粃糠(ひこう)性脱毛症の治療は、外用薬のステロイドを使用することが多いです。
更に、アレルギーの薬やビタミン剤を服用することもあります。







脂性フケとは、ベタベタした黄色いかさぶた状の湿ったフケです。
頭皮の皮脂と古い表皮の角層(かくそう)などが交じり合ったものです。

脂性フケの直接的な原因は、皮脂分泌量の増加によるマラセチア菌の増殖です。


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皮脂の分泌量が増えると、その皮脂をエサとするマラセチア菌が増殖します。
マラセチア菌が増加すると、免疫力の低下した人にのみ、脂性フケが発生します。
脂性フケは、免疫力がある人には発生しません。
一方、HIV陽性患者や免疫不全患者は発生率がとても高いです。


マラセチア菌の増殖が脂性フケの原因であることは、臨床試験により証明されています。
しかし、なぜマラセチア菌の増殖が脂性フケの原因なのか?
現時点では、まだ解明されていません。

確実に言える事は、脂性フケが発生したら、マラセチア菌の増殖を抑える必要があるという事です。


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皮脂が増加する原因には、食生活、紫外線、男性ホルモンの増加、遺伝、間違ったヘアケアなどがあります。

脂っこいもの糖分の多いものは皮脂分泌量を増加させます。
特に、唐揚げやフライドポテト、ラーメン、ハンバーガーなどは皮脂分泌を活発にします。
適度な量であれば問題はないのですが、撮り過ぎには注意する必要があります。


皮脂には、夏の強烈な紫外線から肌を守る役割があります。
紫外線は人間にとっては有害です。

紫外線を多く浴びると、皮脂分泌量は増え、表皮の基底層(きていそう)にある「メラノサイト」により肌の色は黒くなります。
暑い地方に住む人の方が、肌が脂っぽく、色も黒いのは、紫外線から体を守るためです。


男性ホルモンは、基本的に皮脂の分泌量を増加させます。
男性の頭皮や顔が女性より脂っぽい人が多いのは、男性ホルモンが多いからです。


シャンプーのやり過ぎは、頭皮の皮脂分泌量を増やし、脂性フケを発生させることもあります。

頭皮は皮脂膜(ひしまく)で覆われています。
皮脂膜とは、皮脂と汗が混ざり合ってできる弱酸性の膜です。
この皮脂膜が皮膚や体を守る役割をしています。

シャンプーをした直後、頭皮は乾燥します。
しかし、頻繁にシャンプーをしたり、洗浄力の強いシャンプーを使ったりすると、皮脂を大量分泌する体質になってしまうこともあります。

シャンプーのやり過ぎは、頭皮を乾燥させ乾燥フケを発生させる場合と、皮脂の大量分泌を招き脂性フケを発生させる場合があるのです。
多くても、1日1回までです。


脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)や脂性フケの対策には、ケトコナゾール配合のシャンプーを使用するのが簡単で効果的です。
ケトコナゾールは、マラセチア菌の増殖を抑制してくれます。

脂漏性皮膚炎や脂性フケは、皮脂が大量分泌されることにより、マラセチア菌が増殖して発生します。
症状として、痒みや紅斑(こうはん)などが発生するか、脂性フケが発生するかの違いです。
発生原因は同じです。


ケトコナゾール配合のシャンプーを使用すると、頭皮の痒みに関しては、鎮静するケースが多いです。
いくつの商品が販売されています。

1番売れているのは、「ニナゾルシャンプー(Ninazol)2%」です。
ケトコナゾール配合のシャンプーにしては、値段が安く、効果も期待できるから、リピーターが多いです。
ただ、色が赤いので、最初はビックリすると思います。

下の画像をクリックすると商品ページ移動します。





脂性フケが大量に発生することにより、脂漏(しろう)性脱毛症になることもあります。


脂漏性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎に追随して発生する脱毛症です。
激しい炎症により発生するケースと、毛根が皮脂に塞がれたことで発生するケースがあります。
発生頻度は低いです。

脂漏性脱毛症の症状は、頭皮にかゆみや発疹、炎症が発生し、脂っぽいフケがでます。

説明するのは難しいので、写真が載っているサイトをまとめてみました。
興味のある方はご覧下さい。
ただし、閲覧注意です。


【閲覧注意!】脂漏性脱毛症の写真

亀田皮フ科

Mr.横井 髪の悩み.net

レストルクリニック



脂漏(しろう)性脱毛症の治療は、外用のステロイドと外用のケトコナゾールを使用することが多いです。

ステロイドには、抗炎症作用と体の免疫機能のバランスを正常化させる働きがあります。
即効性があり、患部に直接塗り込むことで炎症を抑えます。
ただし、長期間使用することはできません。

ケトコナゾールには、マラセチア菌に対する強力な殺傷力があります。
増え過ぎてしまったマラセチア菌を減らしてくれます。
1番効果のある治療法です。







フケには、乾燥フケと乾性フケがあります。

乾燥フケの直接的な原因は、頭皮の乾燥です。
一方、脂性フケの直接的な原因は、皮脂分泌量の増加によるマラセチア菌の増殖です。

それぞれ発生原因は異なりますが、対策については共通点もあります。


フケが大量に発生するのは、生活習慣が影響していることが多いです。
まず、以下の2つを確認し、該当するなら改善して下さい。

間違ったヘアケア、特にシャンプーにより、フケが発生・深刻化しているケースは多いです。
頻度は多過ぎないか、使っている製品の洗浄力が強過ぎないか、やり方は間違っていないか、確認にしてみて下さい。

睡眠は十分は、すべての病気を発生させるリスクを高めます。
体は睡眠中に痛んだ細胞の修復をしています。
体質や睡眠の質にもよるのですが、通常は最低5時間以上の睡眠は必要です。


皮膚科でのフケの治療には、保険が適用されます。
不快な症状で悩んでいるなら、近所の皮膚科でいいので、診察してもらうことをお勧めします。

フケ、ない方がいいですから。


最後まで読んで頂きありがとうございました。





この記事へのコメント

  • satoshi

    なるほど~
    勉強になりました。

    ふけの対処方法を誤ると、余計ひどくなりますね。
    2017年01月25日 17:44
  • taka

    コメントありがとうございます。

    そうなんですよ。
    自分で判断できない時は、皮膚科で診察してもらった方が賢明です。


    >satoshiさん
    >
    >なるほど~
    >勉強になりました。
    >
    >ふけの対処方法を誤ると、余計ひどくなりますね。
    2017年01月25日 19:38

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