皮脂膜、薄さわずか0.5ミクロンの天然のバリア

皆さん、皮脂膜(ひしまく)って聞いたことがありますか?

人間の皮膚は、皮脂膜という薄い膜で覆われています。
皮脂膜の厚さは、わずか0.5ミクロン(1/20,00ミリ)程度しかありません。
このメチャ×2薄い皮脂膜があることにより、私達の皮膚は正常に保たれているのです。


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参照:田辺三菱製薬


皮脂膜(ひしまく)とは、「皮脂」と「汗」により作られる弱酸性の薄い膜のことです。
皮脂と汗は全く別のものです。
分泌されている部位も違いますし、その成分も全く違います。


皮脂とは、皮脂腺からの分泌物で、主成分はグリセリン脂肪酸エステルです。
簡単に言うと、脂みたいなものです。

皮脂腺は、毛の生えている部位に存在します。
このため、男性の方が多くあります。
皮脂腺が多くある部位は、頭、顔、胸、背中、手脚の順です。
手のひら、足の裏にはありません。

皮脂の分泌量は、1日に1g~2g程度です。
同じ人でも、気温が高いほど多く分泌されます。
年齢的には思春期に最も多く分泌され、20代前半をピークに次第に減少していきます。
特に女性は閉経後に急激に分泌量が減少する人が多く、肌あれやシワの原因になりやすいです。


汗とは、汗腺(かんせん)から分泌する液体で、成分の99%程度が水です。
汗をかくことを「発汗(発汗)」と言います。
また、汗腺には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。

エクリン汗腺
・ほぼ全身に分布
・体温が高くなると発汗
・体温を一定に保つ役割

アポクリン汗腺
・特定の部位に存在
・緊張などで発汗
・役割は不明

あと、汗をかいた後、その濡れた衣服を着ていると、体温が下がり過ぎて体調不良を起こすことが多いです。
汗をかいたら、着替えをしましょう。


皮脂は脂で、汗は水です。
混ざり合うことはできません。
しかし、皮脂のエマルション化の特性により、皮脂と汗は見掛け上、混ざり合っているように見えます。

エマルション化とは、「水の中に油が、もしくは油の中に水が分散している状態」のことです。
水と油は混ざり合うことのない物質どうしです。
エマルジョンされた水と油はキレイに分散されて同じ場所に存在することが可能になります。
つまり、見た目には混ざったように見え、滑らかな液体が作ることができるのです。
バターや牛乳、•医薬品や化粧品に使われるクリーム、接着剤などもエマルション化された液体です。

このようにして作られる皮脂膜(ひしまく)は、皮膚にとって、どんな化粧品にも負けない最高の天然のバリアです。







皮脂膜(ひしまく)の役割はいくつかありますが、最も重要な役割は「保湿」と「外部の刺激からの保護」の2つです。


まずは、保湿についてです。

肌全体は皮脂膜により覆われていますが、量が少なくなると様々なトラブルが発生します。
最も多く発生するトラブルが、皮脂欠乏性皮膚炎です。

肌が健康な状態で保たれるためには、ある程度の水分が必要なのです。
水分は皮膚につけると、すぐに蒸発し無くなってしまいます。
これを防いでいる皮脂膜(ひしまく)です。
皮脂膜には、肌の乾燥を防ぐ保湿効果があるのです。


次に、外部の刺激からの保護についてです。

皮脂膜(ひしまく)は弱酸性です。
弱酸性は細菌などが繁殖しにくい状態です。
特に頭皮には細菌が発生しやすい部位なので、必要以上に細菌などがくっつかないよう守ってくれる皮脂膜の殺菌効果が必要なのです。

皮脂膜(ひしまく)は、細菌以外の外部の刺激からも肌を守ってくれています。

皮脂膜(ひしまく)は紫外線からも肌を守ってくれています。
特に頭皮は、体のなかで最も紫外線を多く受けやすい部位です。
紫外線は、肌に大きなダメージを与えます。


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洗顔をしたら、化粧水を付けた後、更に乳液をつけます。
化粧水は汗の代わり、乳液は皮脂の代わりです。
乳液に弱酸性の製品が多いのはこのためです。
しかし、人工的に作した物では、皮脂膜(ひしまく)には到底敵いません。
皮脂膜のようなエマルション化は不可能だからです。

この様な理由から、過度の洗顔は肌にとっては逆効果になります。
個人差や肌の状態にもよりますが、洗顔は1日2回までにした方がいいでしょう。
ちなみに、私は1日1回入浴時、その他に汗をかいた時や汚れた時に洗顔しています。
平均すると、1日1.5回くらいです。


皮脂膜は、わずか0.5ミクロンしかない薄い膜ですが、私たちの肌をしっかりと守ってくれています。
超高性能な天然のバリアなのです。

皮脂膜エライ!


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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