という有名な諺(ことわざ)があります。
病気は気の持ちようで、良くなったり、悪くもなったりするという意味です。
この諺を初めて知った時、「そんなアホなことあるものか ww」と失笑してしまいました。
しかし、いろいろ調べてみたら、全くのウソという訳ではないようなのです。
少なくとも、薬の効果や副作用に関しては、この諺がある程度正しいというエビデンス(科学的根拠)が存在します。
薬には、「プラシーボ効果」と「ノーシーボ効果」があります。
プラシーボ効果とは、偽薬でも、効果のある薬だと信じ込む事によって、病気の症状が改善する事です。
「偽薬効果(ぎやくこうか)」や「プラセボ効果」とも言います。
ノーシーボ効果とは、この薬は効かないとか副作用がでるかもと思って使用すると、本当に薬の効果が効きにくかったり、副作用が発生したりする事です。
「反偽薬効果(はんぎやくこうか)」や「ノセボ効果」とも言います。
悲報ですが、プラシーボ効果より発生頻繁は高いです。
薬は使用する時のイメージにより、その効果や副作用が変わってくる場合もあり得ます。
「そんなバカな!」と思われる方も多いと思いますが、これらは時々発生する現象です。
プラシーボ効果については、以下のような事例があります。
ハーバード大学で、過敏性大腸症候群の患者40名に対して、偽薬を与え臨床試験を行いました。
偽薬を与えた人達には、「これは砂糖など何ら効果のないものからできている偽薬だ。しかし、自己治癒力の向上により、過敏性大腸症候群の治療に効果があることが臨床試験で証明されている」と嘘の説明しました。
薬が入っている瓶には、わざわざ「偽薬」というラベルまで貼り付けました。
結果は驚くべきことに、この偽薬は過敏性大腸症候群の治療薬よりも効果を発揮しました。
他の研究機関でも、同じような報告がいくつかあります。
どのようなメカニズムにより発生するのかは、まだ解明されているとは言えません。
しかし、程度の差こそあれ、薬には「プラシーボ効果」が発生する事があるのは事実です。
プラシーボ効果については、更に興味深い調査結果もあります。
米シンシナティ大学で、パーキンソン病患者12名に対して行った臨床試験です。
全員に偽薬が投与され、パーキンソン病に効果があると説明しました。
そして、一部の患者にのみ、「その薬の値段は他の薬の15倍高価である」と伝えました。
結果は、「高価な偽薬」を使用した患者の方が、安価な偽薬を使用した患者よりも、大きな効果がありました。
他の研究機関でも、同様の結果がでています。
つまり、値段が高い薬の方がプラシーボ効果は発生しやすいのです。
肥満治療薬ゼニカル(Xenical)
ノーシーボ効果は、プラシーボ効果より頻繁に発生します。
現在、薬局やドラッグストアで市販されているすべての医薬品は、風邪薬でも胃薬でも、治験(ちけん)を行うことにより一定の安全性が担保されています。
治験は通常、二重盲検法(にじゅうもうけんほう)により行われます。
被検者を2つのグループに分け、一方のグループには本物の薬を、他方のグループには本物そっくりの「偽薬」 を与え、臨床データをとります。
結果は、どのような薬でもほぼ例外なく、偽薬でも副作用が発生しています。
本来なら、副作用が発生する事などあり得ません。
思い込みにより、体に悪影響がでるという事です。
薬を使うことに対しては、誰でも多少の不安があるでしょう。
しかし、「この薬を使うと体が良くなる♡」というように、楽観的な気持ちで使用した方が、良い結果が得られる可能性が少しだけ上がります。
もちろん、薬はその用法・容量を守り、医師や薬剤師の指示にしたがって使用する必要はあります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事へのコメント
oguri
勉強になりました。
taka
そう言って頂けると励みになります。
>oguriさん
>
>「プラシーボ効果」と「ノーシーボ効果」
>
>勉強になりました。
AGA48
この記事、以前にも読ませていただいておりまして、
ノーシーボという言葉は初耳でした。
〉ノーシーボ効果の方がプラシーボ効果より頻繁に発生
これは悲しいけど、人間らしい感じもしますね。
taka
AGAの治療では「ノーシーボ効果」はよく発生します。
非常に残念なことですが。
でも、薬や病気、体についての知識が増えていけば、発生する確率は格段に下がります。
>AGA48さん
>
>コメントありがとうございました。
>
>この記事、以前にも読ませていただいておりまして、
>ノーシーボという言葉は初耳でした。
>
>〉ノーシーボ効果の方がプラシーボ効果より頻繁に発生
>これは悲しいけど、人間らしい感じもしますね。
>