前頭部と頭頂部の髪の毛が薄くなっていくのが特徴です。
AGAは男性ホルモンが大きく関与した脱毛症です。
AGA(男性型脱毛症)の発症メカニズム
①男性ホルモン「テストステロン」と酵素「5αリダクターゼ」が結合すると、男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」がつくられる
②DHTが受容体「アンドロゲンレセプター」に結合すると、成長因子「TGF-β」がつくられる
③TGF-βが髪の毛が抜けるように指令をだし、ヘアサイクル(髪の毛の寿命)が短くなる
AGAは髪の毛の寿命を短くする脱毛症です。
DHTやTGF-βが増加するほど進行します。
DHTやTGF-βは、前頭部と頭頂部に集中的に存在しています。
AGAを発症すると、前頭部と頭頂部の髪の毛が薄くなっていくはこのためです。
AGA(男性型脱毛症)の治療で最も重要なことは、その発生原因をなくすことです。
「抗アンドロゲン剤(こうアンドロゲンざい)」が最も効果があります。
アンドロゲンとは、雄性ホルモン・男性ホルモンのことです。
(一般的に、対象が動物の場合には「雄性ホルモン」と呼ばれ、対処が人間の場合には「男性ホルモン」と呼ばれる)
抗アンドロゲン剤とは、アンドロゲンの働きを抑制する薬物の総称です。
抗アンドロゲン剤は前立腺肥大症や前立腺がんを治療する薬として有名ですが、性同一性障害やパラフィリア(精神障害の一種)などの治療にも使用されています。
最近ではニキビの治療にも使われています。
もちろん、AGA(男性型脱毛症)の治療薬としても絶大な効果を発揮します。
(日本ではAGA治療薬としてのみ医薬品として承認)
抗アンドロゲン剤には、比較的多くの種類の薬があります。
前立腺がんの場合、内服薬の抗アンドロゲン剤には、カソデックス(ビカルタミド)、オダイン、プロスタールなどがあります。
ある薬を使って効果がなくても、他の薬で効果が得られる場合もあります。
AGA(男性型脱毛症)の治療では、「フィナステリド」か「デュタステリド」の内服薬が第一選択肢です。
2018年1月現在、AGA治療薬として国内で医薬品として承認されている抗アンドロゲン剤は、この2種類だけです。
これらは薬の名前ではなく、薬に使用されている成分の名前です。
AGAの進行を抑制するすることができるエビデンス(科学的根拠)があるのは、2018年1月現在、フィナステリドとデュタステリドの内服薬しか存在しません。
ただし、数年以内に、フィナステリドの外用薬ができる可能性は高いです。
フィナステリドとデュタステリドは、作用メカニズムが非常に似ています。
共に、抗アンドロゲン剤です。
男性ホルモン「テストステロン」と酵素「5αリダクターゼ」が結合するし、男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」が生成されるのを抑制する作用があります。
DHTの濃度を正常値まで引き下げることにより、AGAの発症原因を取り除きます。
フィナステリドとデュタステリドの違いについてです。
大きな違いは2つです。
まず、デュタステリドの方が作用範囲が大きいです。
5αリダクターゼには、1型と2型が存在します。
フィナステリドは、テストステロンと5αリダクターゼ2型がDHTを生成するのを抑制します。
一方、デュタステリドは、テストステロンと「5αリダクターゼ1型と2型」がDHTを生成するのを抑制します。
ただし、DHTの大部分は、テストステロンと5αリダクターゼ2型により生成されます。
これは無視してもいいレベルの話です。
もうひとつは、デュタステリドの方が強力な薬の成分です。
フィナステリドを服用すると、DHTの血中濃度は半分程度にまで低下します。
一方、デュタステリドを服用すると、DHTの血中濃度は1/10近くまで低下します。
フィナステリドで効果がなかった人でも、デュタステリドでは効果が得られる場合があるのは、その作用の強さが違うからです。
AGA(男性型脱毛症)の治療薬としての強さ
フィナステリド<デュタステリド
フィナステリドにも長所はあります。
フィナステリドが初めてAGA治療薬として使用されたのは、日本では2005年12月です。
一方、デュタステリドは2015年11月です。
フィナステリドの方が長く使用されているので、多くの臨床データがあります。
これは薬を安全に使用するためには、非常に重要なことです。
また、フィナステリドの方が人体に与える作用が弱いので、副作用が発生する確率も低いです。
フィナステリドの内服薬であるプロペシアの使用成績調査の結果は、以下のとおりです。
使用成績調査とは、市場に販売された薬の効果や副作用を調べる調査です。
プロペシアの使用成績調査の結果
・943例中5例(0.5%)に5件の副作用が認めらた
・主な症状はリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等
フィナステリド内服薬は副作用が発生しにくい薬です。
ちなみに、市販されている風邪薬の副作用発生率は15%程度です。
デュタステリド内服薬は市場にでたばかりなので使用成績調査のデータはありませんが、恐らく、フィナステリド内服薬の数倍の副作用は発生するでしょう。
フィナステリド内服薬には、プロペシアやフィンペシア、フィナロイドなどがあります。
1日1回1錠(1mg)を決まった時間に服用します。
上の写真は、私が服用しているフィンペシアです。
デュタステリド内服薬には、サガーロやアボダート、ベルトリド、デュタスなどがあります。
1日1回1錠(0.5mg)を決まった時間に服用します。
初めて使用する人は、フィナステリド内服薬の方が良いです。
副作用が発生しにくい事もありますが、フィナステリド内服薬でもAGA(男性型脱毛症)の進行を抑制できる確率は98%程度です。
これらの薬は医薬品です。
入手方法は病院で処方してもらう方法と、個人輸入代行業者から購入する方法があります。
個人輸入代行業者から購入する場合には、下のバナーをクリックすると、オオサカ堂という個人輸入代行業者のサイトにとぶので、そこから購入できます。
通常は商品の代金支払い後、1週間くらいで届きます。
フィナステリドとデュタステリドには、AGA(男性型脱毛症)の発症を抑制する効果はありますが、なくなってしまった髪の毛を生やす効果はありません。
つまり、発毛効果はありません。
このような理由から、最も発毛効果のあるミノキシジル(正確には「薬の成分」)と併用して使うのが効果的です。
現在のAGA(男性型脱毛症)治療は、抗アンドロゲン剤のフィナステリドかデュタステリドと、発毛効果のあるミノキシジルを併用するのが標準的な治療法になりつつあります。
これらの薬を使用しても「絶対に髪の毛が生える」とは言えません。
髪の毛がハゲあがってしまってから5年以上経過している場合は、効果がないケースの方が多いです。
髪の毛の元である毛母細胞(もうぼさいぼう)が死んでしまった、又は、弱ってしまった可能性が高いからです。
効果のある人はだいたい80%くらいです。
そのうち満足できた人は約半分くらいです。
過度の期待をしてはいけませんが、まったくAGA(男性型脱毛症)を改善することができなかった昭和の時代と比べると、AGAの治療は抗アンドロゲン剤の登場により大きく進歩しました。
試してみる価値はあります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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