聞きなれない言葉かもしれませんが、最近の薬はこのアンテドラッグが多いです。
アンテドラックとは、薬の「ある特性」をいう言葉なのですが、これがなかなか優れた特性なのです。

液体ムヒS2a(池田模範堂)
アンテドラックとは、投与した部位では強く作用しますが、体内に吸収された後は作用が弱くなる薬のことです。
副作用の軽減を目的に開発されました。
薬の有効成分の分子構造を工夫することにより可能となる技術です。
アンテドラッグの代表的な薬には、以下のようなものがあります。
塗り薬・・・アンテベート、マイザー、パンデル、リドメックスなど
吸入薬・・・パルミコート、シムビコート、フルタイド、アドエア、フルティフォーム、キュバールなど多数
現在市販されているステロイド剤のほとんどは、アンテドラッグです。
別名、「ステロイドアンテドラッグ」とも呼ばれています。
成分には、「ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル」とか「吉草酸酢酸プレドニゾロン」のように、なぜか、やたらと長く小難しい名前がついています。
これらの成分は患部につけた時点では痒みを抑制する作用を及ぼしますが、体内に吸収されるにつれて、その作用が弱くなっていきます。

上の写真は、私が使用している「アンテベート」というステロイド剤です。
もちろん、この薬もステロイドアンテドラッグです。
アンテドラッグがどのように作用するのかというと、以下のように作用します。
薬を痒みのある患部に塗る
↓
薬が塗ったところに効果を発揮する
↓
薬が体内に吸収される(血液中に移行する)と、効果がなくなる又は凄く弱くなる
↓
(まだ作用が残っている成分は肝臓で代謝)
↓
薬が体外に排出される
通常の薬は体内に吸収されても、効果がなくなる(作用が弱くなる)ことはありません。
だから、患部以外のところにも効いて(作用して)しまうという欠点があります。
そのままの状態では体に良くないので、通常は肝臓で代謝され、無害な物質に変化されます。
しかし、アンテドラッグは体に吸収されると、その成分の大部分が体にとって無害なものに変化します。
肝臓にかける負担が物凄く少ないのです。
アンテドラッグの最大のメリットは、副作用の発生を軽減することができることです。
アンテドラッグ、Good job !
(゚ー^*)d
アンテドラッグと対象的な特性をもつ薬を「プロドラッグ」と言います。
プロドラッグとは、投与されると生体による代謝作用を受けて、作用が強くなる薬のことです。
薬は通常、使用された後に消化管内や肝臓で分解され、無害な物質に変化されます。
このため、内臓などのように患部が体の内部にある場合、有効成分が患部に届く前に少なくなり(弱くなり)効果が薄くなっていまいます。
この欠点を克服するために開発されたのがプロドラッグです。
プロドラッグの代表的な薬には、ロキソニンやタミフル、エナラプリル、バラシクロビルなどがあります。
アンテドラッグよりその種類は少ないです。
使用には処方箋が必要な場合や、医療機関で使用されるものが多いです。
少々マニアックな薬とも言えます。
例えば、頭痛・生理痛の内服薬「ロキソニン」を服用した場合。
服用した直後に胃の中では薬として作用しません。
腸から吸収され、体内で代謝されてから薬として作用するようになります。
アンテドラッグやプロドラッグは、非常に優れた薬の特性と言えます。
現在、私達が使用している薬は、長い歴史のなかで進化してきたものです。
その過程では多くの失敗もありました。
感謝して使うようにしたいものです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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