脂漏性脱毛症とは?その症状と治療法について

脂漏性脱毛症という脱毛症があります。
「しろうせいだつもうしょう」と読みます。

脂漏性脱毛症は比較的なりにくい脱毛症です。
正確な統計はありませんが、発生率は全脱毛症の1%以下と言われています。
AGA(男性型脱毛症)びまん性脱毛症(女性型脱毛症)、円形脱毛症と比べると、かなりマイナーな脱毛症です。
年齢や性別に関係なくすべての人が発症する可能性のある脱毛症ですが、皮脂分泌量の増える思春期に発生しやすい傾向があります。



脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)とは、皮脂が過剰に分泌されることにより発生する脱毛症です。
皮脂が毛穴を塞ぐことにより、炎症が発生したり、細菌が内部に侵入して発毛組織にダメージを与えます。
その結果、抜け毛を引き起こします。
脂漏性脱毛症は、以下の3つの条件が揃うことにより発症します。


脂漏性脱毛症が発症するための3つの条件
①皮脂の過剰分泌
②マラセチア菌の異常繁殖
③脂漏性皮膚炎の発生



脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)の発症メカニズムは、以下のとおりです。


皮膚は「皮脂膜(ひしまく)」で覆われています。
もちろん、頭皮も。
皮脂膜(ひしまく)とは、皮脂と汗が混ざり合った弱酸性の薄い膜です。
皮脂は脂、汗は水に近い性質のものです。
皮脂膜には、保湿作用と外的からの保護作用があります。
皮膚にとっては必要不可欠なものです。


皮脂が過剰に分泌されることにより、「マラセチア菌」が異常繁殖します。

マラセチア菌とは、カビの一種で、人間の肌に常に存在している菌です。
古くなった皮脂や皮脂膜を処理してくれています。
皮膚(特に頭皮)が常に清潔な状態に保たれているのは、このマラセチア菌のおかげです。

マラセチア菌は、皮脂(正確には皮脂の成分のひとつ「トリグリセリド」)を遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)に分解します。
遊離脂肪酸は刺激の強い物質です。


遊離脂肪酸が大量に生成されることにより、「脂漏性皮膚炎」を発生するリスクが高まります。
また、増殖したマラセチア自体も皮膚に炎症を起こすと考えられています。
発毛組織にダメージを与えられ、脱毛が発生します。

遊離脂肪酸がどのくらい発生すると脂漏性皮膚炎になるのかは、人によって異なります。
脂漏性皮膚炎発症にならない人もいますし、少量の遊離脂肪酸で脂漏性皮膚炎になる人もいます。







脂漏性脱毛症の症状は、髪の毛全体が脂っぽくなり、大量のフケが発生します。
発生したフケは、湿り気があり脂っぽいフケです。
このようなフケを「脂性フケ」と言います。
下の写真は、脂性フケが発生した頭皮です。


脂性フケが大量に発生する原因は、皮脂分泌量の増加によるマラセチア菌の異常繁殖です。
マラセチア菌が増加すると、免疫力の低下した人にのみ、脂性フケが発生します。
脂性フケは、免疫力がある人には発生しません。
一方、HIV陽性患者や免疫不全患者は発生率がとても高いです。


20170503.1.jpg
参照:髪の毛にいい食べ物で若ハゲ克服対策


大量にフケが発生しているからといって、必要以上にシャンプーの回数を多くしたり、洗浄力の強いシャンプーを使ったりはしないで下さい。
頭皮の皮脂をキレイにしても、すぐに皮脂が分泌され脂っぽい状態に戻ってしまいます。
むしろ、大量に皮脂の分泌を招き、症状を悪化させる危険性があります。

症状が悪化すると毛母細胞(もうぼさいぼう)が正常に活動しなくなっていきます。
その結果、抜け毛が多くなったり、髪の毛が薄くなったり、髪の毛が生えてこなくなったり、髪の毛が抜けたりするのです。


脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)を発生するとどのような状態になるのか、写真が載っているサイトを下にまとめてみました。
気持ち悪い写真もあるので、閲覧注意です。


【閲覧注意!】脂漏性脱毛症の写真

亀田皮フ科

美容男子

Mr.横井 髪の悩み.net

レストルクリニック








脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)の治療で最初にやることは、脂漏性脱毛症かどうかの確認です。
AGA(男性型脱毛症)びまん性脱毛症(女性型脱毛症)とは治療法が異なるからです。
自分で判断できない時は、皮膚科で診てもらってして下さい。

治療をする時も皮膚科医の指導に従って下さい。
治療には、医薬品を使用したり、検査をしたりします。
皮膚科の医師のいる医療機関でなければ、満足な治療はできません。
間違っても、某かつらメーカーや育毛サロンなどには行かないで下さい。
「皮膚科の医師がいる」ということが絶対条件です。
脂漏性脱毛症の治療は医療行為なのです。


脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)の発生プロセス

皮脂の過剰分泌
 ↓
皮脂が毛穴に詰まる
 ↓
マラセチア菌の異常繁殖
 ↓
脂漏性皮膚炎の発生
 ↓
脱毛が発生



上の図は、脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)の発生プロセスです。
この一連の流れを断ち切ることにより、脂漏性脱毛症の発生原因を取り除くことができます。
1番効果的な対策は、マラセチア菌の異常繁殖を抑えることです。


具体的な治療法は、外用の抗真菌剤(こうまきんざい)という薬を使用します。
マラセチア菌などの真菌(カビ)の繁殖を抑制する作用があります。

最近の薬は、1日1回ぬるだけで効果があります。
効果がでる人の場合には、最初の1週間ほどは皮が散々剥けて、10日ほどで見た目も良くなります。

抗真菌剤は使用が難しい薬です。
どの程度の強さのものを選べはいいのか、いつまで使用すればいいのかなど、皮膚科医でなければ正しい判断ができない場合が多いです。



脂性フケが発生しても、まだ脱毛が発生する前、皮膚炎が発生する前なら、ケトコナゾール配合のシャンプーで完治できるケースが多いです。
ケトコナゾールも抗真菌剤(こうまきんざい)の一種です。

使用法は、髪を充分にぬらしてから、シャンプーを適量手に取り使用します。
3分~5分間ほど放置した後、入念に洗い流してください。
シャンプーは毎日使用してはいけません。
週に2回、2~4週間ほど使用してください。
その後は、週に1回、または2週間に1回くらいの頻度で使用してください。

下の画像をクリックすると、ケトコナゾール配合のシャンプーの販売ページに移動します。





抗真菌剤以外の対策としては、頭皮の痒み(かゆみ)や炎症を抑えるための薬が処方される場合が多いです。
抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などになります。

ビタミン剤が処方されることも多いです。
ビタミン(A、B2、B6、Cなど)には、頭皮の働きを正常に戻す効果があります。
どのビタミンが必要なのかは、症状によって変わってきます。



脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)の発生原因はわからない場合も多いです。
しかし、悪化させないためには、生活習慣を無理をしない程度に改める必要があります。
このあたりの対策は、他の脱毛症の場合と共通するものが多いです。

最も注意してほしいのはシャンプーです。
刺激の少ないものを使用して下さい。
皮脂はシャンプーで洗い流すと、更に皮脂を分泌するという性質があります。
だから、洗浄力の強いシャンプーを使ってはいけません。
アミノ酸系シャンプーがおススメです。

ケトコナゾール配合のシャンプーは酷くなると使用できません。
すでに脱毛症が発症している人や皮膚炎が発生している人は、使用前に医師に相談して下さい。


食生活については、「脂っこいもの」の撮り過ぎには注意して下さい。
皮脂分泌量を増やしてしまいます。

この他に悪化させる要因としては、間違った髪の毛を洗い方やドライヤーのかけ方、間違った方法による染色脱色紫外線の浴び過ぎ、空気の乾燥、寝不足などが考えられます。



脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)は初期のうちに対応すれば、完治することが多い脱毛症です。
一方、重症になってしまうと、脱毛した部位が元に戻らなくなってしまいます。

髪の毛が脂っぽくてフケがあったら、早めに皮膚科で診察してもらって下さい。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


この記事へのコメント

  • N キミコ

    人気ブログランキングよりお邪魔しています

    髪の問題は男性の方の切実なことと思います
    最近は女性でも髪が抜けることを気にされる方が多いので
    大変さを凄く感じました

    応援ポチです
    2017年05月04日 14:19
  • taka

    コメントありがとうございます。

    脱毛症はなるべく早い治療が必要です。
    症状がひどくなるほど回復が困難になりますから。



    >N キミコさん
    >
    >人気ブログランキングよりお邪魔しています
    >
    >髪の問題は男性の方の切実なことと思います
    >最近は女性でも髪が抜けることを気にされる方が多いので
    >大変さを凄く感じました
    >
    >応援ポチです
    2017年05月04日 15:29

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