粃糠性脱毛症とは?その症状と治療法について

粃糠性脱毛症という脱毛症があります。
「ひこうせいだつもうしょう」と読みます。

「ひこう」とは、糠(ねか)のことです。
発生したフケが糠のように見えるので、「粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)」と名づけられました。


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粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)とは、頭皮の乾燥により大量のフケが発生し、抜け毛を引き起こす脱毛症のことです。
大量のフケの発生することにより、頭皮トラブルを引き起こし、髪の毛が抜けいきます。
ひどくなると、毎日数100本単位で脱毛します。

見た目でだけでは、粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の判別はできません。
脱毛部分が決まっていないからです。
AGA(男性型脱毛症)のように前頭部か頭頂部から薄くなっていくケースが多いのですが、びまん性脱毛症(女性型脱毛症)のように全体的に薄くなっていくこともあります。

男性が発症した場合、AGAと同じ部位の髪の毛が抜けていくパターンが多いのです。
このため、AGA(男性型脱毛症)だと思い込んでしまい、処置が遅れてしまうことが多々あります。
判断するのが難しい脱毛症です。


AGA(男性型脱毛症)と粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)を判別するには、抜け毛を観察する必要があります。

AGAの抜け毛の多くは産毛です。
これは、AGAが髪の毛のヘアサイクルを短くする脱毛症だからです。

一方、粃糠性脱毛症は成長した太い髪の毛も抜けていきます。
これは、頭皮トラブルによって髪の毛が抜けていくからです。

抜け毛が多いと感じたら、その抜けてしまった髪の毛をよく観察することです。
抜け毛には、いろいろな情報がつまっています。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)は大量に発生したフケが頭皮トラブルを引き起こします。
頭皮は赤くて腫れて、痒み(かゆみ)を伴う場合が多いです。
ひどくなると、頭皮に瘡蓋(かさぶた)ができます。

患部は次第に頭皮全体へと広がっていきます。

この時、AGA(男性型脱毛症)は側頭部や後頭部の髪の毛は健康でフサフサのままですが、粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)は側頭部や後頭部の髪の毛も脱毛します。
これも、AGAと粃糠性脱毛症の違いになります。


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参照:最後の砦~育毛XYZ~


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の特徴は、灰白色の細かい乾燥したフケが大量に発生することです。
この大量に発生したフケが、頭皮の毛穴に入り込み、毛母細胞(もうぼさいぼう)の活動を妨げ、抜け毛を増やしている訳です。
多少フケが多いくらいでは、粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)ではない場合がほとんどです。
粃糠性脱毛症のフケ発生量は異常に多いですから。

上の2つの写真は、粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の頭皮の写真です。
このように、通常では考えられないほどのフケが発生します。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)で発生するフケは「乾燥フケ」です。
乾燥フケとは、サラサラと乾燥したフケのことを言います。
通常、発生するフケは乾燥フケです。

乾燥フケが大量に発生する原因は頭皮の乾燥です。

フケは、表皮の角層(かくそう)の一番上の層が自然に剥がれ落たものです。
しかし、頭皮が乾燥してしまうと、表皮の結合力が弱くなり、まだ剥がれ落ちてはいけない部分まで、フケとなり剥がれ落ちてしまうのです。



粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)と脂漏性脱毛症は、発症の原因や抜け毛に至るプロセスなど似ているところもあるのですが、「フケの種類」と「脱毛症の発症原因」が違います。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)・・・乾燥フケ、頭皮の乾燥により発症

脂漏性脱毛症(しろう性脱毛症)・・・脂性フケ、過剰な皮脂分泌により発症



粃糠性脱毛症は、AGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症、びまん性脱毛症(女性型脱毛症)などど比べると、生活習慣が深く関わっている脱毛症と言われています。
遺伝はあまり関係ありません。
誰にでも発症する脱毛症です。

ちなみに、脂漏性脱毛症(しろうせい脱毛症)も生活習慣が深く関わっている脱毛症です。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)は珍しい脱毛症です。
正確なデータはありませんが、発生率は全脱毛症の1%以下でしょう。
AGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症、びまん性脱毛症(女性型脱毛症)と比べると、相当なりにくい脱毛症と言えます。







粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の治療法には、二つのアプローチが必要になります。
医学的な治療と生活習慣の改善です。


まずは、医学的な治療についてです。

粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)かなと思ったら、皮膚科で診てもらってして下さい。
間違っても、某かつらメーカーや育毛サロンなどで治そうとは思わないで下さい。
粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)は判断するのが難しい脱毛症です。
多少のフケの発生が発生しても、粃糠性脱毛症ではなく、他の脱毛症ということも多いです。



医学的な治療では、まず頭皮の炎症を食い止めることを最優先します。
炎症を沈静化できれば、粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の進行を食い止めることができます。

フケの発生量が少なくなってきたら、治療が効いている証です。
個人差もあるのですが、フケが少なくなってから3か月~4か月くらい経過すると、脱毛部分から髪の毛がマバラに生えてきます。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の治療は、薬によっる治療が主流です。
外用薬を使用する場合と内服薬を使用する場合、又は、その両方を使用する場合があります。

最も多いのが「外用のステロイド」を使用する治療法です。
現時点では、この治療法が最も実績があります。
ただし、人によっては、完治するのに時間がかかったり、症状が慢性化することもあります。

この他には、アレルギーの薬やビタミン剤を服用することもあります。

あと、市販されている育毛剤は使わないで下さい。
頭皮に炎症が発生して、症状をますます悪化することも考えられます。

粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の症状にあった正しい薬の選択は、専門知識のある皮膚科医でなければ難しいのです。







もう一つは、生活習慣の改善についてです。

粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)はその発生原因は複合的な場合が多いのですが、アレルギー体質の人の方が発症しやすいというデータがあります。
だから、シャンプーなどの薬剤や空気の乾燥などの外的要因が起因している割合が高いです。


最初に確認してほしいのは、シャンプーについてです。
粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の人や、頭皮が乾燥してフケが多くなっていたり痒み(かゆみ)がある人は、シャンプーのやり過ぎや自分に合っていないものを使っていたり、やり方が間違っている場合が多いからです。

シャンプーの頻度ですが、多くても1日1回までです。
それ以上やると、頭皮が乾燥して、乾燥フケが発生する原因になります。

シャンプーは洗浄力の弱いものを使っているか確認して下さい。
おススメは、アミノ酸系シャンプーです。
頭皮が乾燥しやすい人は、高級アルコール系シャンプーや石けん系のシャンプーのような洗浄力の強いシャンプーでは、皮脂を落とし過ぎ「皮脂欠乏性皮膚炎」を引き起こすからです。

シャンプーのやり方にも注意が必要です。
40度以下のぬるま湯で洗って下さい。
熱いお湯はNG。
熱いお湯で洗うほど、頭皮の乾燥が早くなっしまいます。

シャンプーはその液を直接頭皮にはつけないで下さい。
手の平で十分に泡立ててから、頭皮をやさしく洗って下さい。
そして、洗髪後はしっかりと洗い流して下さい。

シャンプーは、正しいやり方や適正な頻度でやらないと、頭皮トラブルの原因になります。
下に記事をまとめましたので、良かったらご覧になって下さい。


シャンプーに関する記事

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アミノ酸系シャンプーとは?

正しいシャンプーのやり方(髪の毛の洗い方)



シャンプー以外の外的な要因としては、トリートメントや整髪剤などのヘアケア製品、紫外線や空気の乾燥、間違った染色脱色などが考えられます。
つまり、頭皮に外的にダメージを与えるような事になります。



粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)の発生原因はよくわかっていない部分も多いのですが、シャンプーなどによる外的な刺激以外には、ホルモンのバランスが崩れたり、細胞の治癒力の低下などもあると考えられています。

以下は、ほとんどの脱毛症に共通する生活習慣の改善になります。

睡眠不足は、すべての脱毛症に悪影響を与えます。
最低でも1日6時間以上はとって体を休めて下さい。
人間の体は眠っている間に、痛んだ細胞の修復やウイルスや細菌などの駆除をおこなっています。
これが正常におこなわれないと、健康な髪の毛を生やすことができる状態にならないのです。


過度の喫煙や飲酒、暴飲・暴食など、体によくない生活習慣をしていないか確認し、思い当たる場合には改善が必要です。


粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)は、アレルギー体質の人が発症しやすい脱毛症です。
人間が文明的になり、様々な薬剤を使用するようになったことにより、発症しやすくなった脱毛症と言えます。
少し皮肉ですね。



粃糠性脱毛症(ひこう性脱毛症)以外の他の脱毛症に関する記事も書いています。
良かったらご覧になって下さい。


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最後まで読んで頂きありがとうございました。

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