このようなイメージを持っている人は多い思います。
これは、ほぼ間違いです。
どんな薬(医薬品)でも、使用することにリスクはあります。
しかし、用法・容量を守っていれば、通常は安全に使用することができます。
注意事項を守らずに使用することにより、危険で怖いものになるのです。
そもそも、そんなに危険な薬なら、国(厚生労働省)が認可することは有り得ません。
ステロイドが怖いというイメージは、1990年代のマスコミによる「ステロイド・バッシング」から起因しているものです。
特に、22時台に生放送されていた報道番組「ニュース・ス○○ション」のバッシングは酷いものでした。
参照:StoneWasher's Journal
ステロイドとは、ステロイド骨格という構造をもった化合物の総称です。
上の図が、ステロイド骨格になります。
コレステロールなどもステロイドに分類されます。
専門的な話をすると混乱するので、「ステロイド=変な構造のもの」と覚えて下さい。
ステロイドには、いろいろな種類があります。
人間の体の中でも何種類かつくられており、ホルモンとして機能しているステロイドもあります。
これらを「ステロイドホルモン」と言います。
ホルモンとは、微量で体の様々な機能をコントロールする物質の総称です。
ステロイドホルモンは、そのつくられる部位により、「副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつホルモン)」「精巣ホルモン」「卵巣ホルモン」などがあります。
なお、精巣ホルモンは「男性ホルモン」、卵巣ホルモンは「女性ホルモン」と呼ばれることが多いです。
一般的に、これらのステロイドホルモンを人工的につくった薬のことを、「ステロイド剤」とか「ホルモン剤」と呼んでいます。
ステロイド剤とは、副腎皮質ホルモンを人工的につくった薬のことです。
ステロイド剤と混同しやすいのがホルモン剤です。
ホルモン剤とは、卵巣ホルモンを人工的につくった薬のことを言います。
精巣ホルモンを人工的につくった薬も「ホルモン剤」と言うこともあります。
個人的には誤解を避けるためにも、「副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつホルモン)剤」とか「卵巣ホルモン剤」のように言ってもらいたいと希望しています。
精巣ホルモンや卵巣ホルモンも、副腎皮質ホルモンと同じステロイドですから。
ちなみに、副腎の位置は、腎臓の上にあります。
2つのある臓器です。
1つが5グラムくらいの小さな臓器になります。
下のイラストが副腎(ふくじん)になります。
参照:栄養療法のブログ
ステロイド剤には、副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつホルモン)と同じような効果と副作用があります。
ステロイド剤の強力な効果は、抗炎症作用と免疫抑制作用です。
この他にも、骨代謝作用や糖代謝作用、抗ストレス作用などがあります。
ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎の治療薬として有名ですが、他にもいろいろな病気の治療に使われています。
喘息(ぜんそく)や関節リウマチ、肺炎などにも使われています。
身近のものとして、虫さされや手の湿疹(しっしん)の薬などに含まれています。
ステロイド剤は便利な薬ですが、欠点もあります。
ステロイド剤は、用法・容量を守らないと、副作用が発生しやすい薬です。
だからと言って、必要以上に神経質になる必要はありません。
医師や薬剤師の指示に従い、用法・容量を守って使っていれば、通常は大丈夫です。
ステロイド剤は、一般的には、あまり長期間は使用しません。
長期間の使用により起きる副作用には、副腎(ふくじん)の機能低下、骨粗しょう症、筋力低下、むくみ・高血圧などがあります。
また、使用する量やステロイド剤の強さにも注意が必要です。
規定量以上の使用により起きる副作用には、糖尿病や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などがあります。
この他にも、免疫機能の低下などの副作用が発生することもあります。
また、ステロイド剤は身体の部位によって、吸収されるステロイドの量が異なります。
これは皮膚の厚さが、部位によって違うからです。
顔や陰部の皮膚は薄いですし、手の平や足の裏の皮膚は厚めです。
皮膚の薄い部位にステロイド剤を使用するときには、なるべく弱いものを使用します。
ステロイド剤は優秀な薬です。
しかし、使用が少し難しい薬でもあります。
余程詳しくない限り、自己判断での使用は止めた方が無難でしょう。
他の薬以上に注意事項を守り、気になったことがあったら、すぐに医師や薬剤師に相談して下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事へのコメント
satoshi
男性ホルモンや女性ホルモンもステロイドに分類されるのですね。
確かに、副腎皮質ホルモン剤のことだけをホルモン剤と言うのは変ですね。
taka
男性ホルモンも女性ホルモンも副腎皮質ホルモンも、ステロイドなんですよ。
細かく言うと、「ステロイドホルモン」になります。
だだ、ステロイドは体内で何10種類もつくられているので、「ステロイド=怖い」というイメージはなくしたいですね。
>satoshiさん
>
>なるほど・・・
>男性ホルモンや女性ホルモンもステロイドに分類されるのですね。
>
>確かに、副腎皮質ホルモン剤のことだけをホルモン剤と言うのは変ですね。