しかも、若い人の方が発症しやすい脱毛症です。
円形脱毛症の発症者の約1/4は、15歳未満(小児科の対象年齢)です。
円形脱毛症とは、突然、髪の毛などに円形や楕円形の脱毛部分ができる脱毛症です。
酷くなると、髪の毛だけでなく、眉毛やまつ毛などの全身の体毛で脱毛が発生します。
円形脱毛症は脱毛部分がはっきりしているのが特徴です。
これは脱毛に勢いがあるからです。
円形脱毛症は放置しておくと、どんどん進行してしまう可能性があります。
早期に皮膚科医の診察を受け、対策をとる必要があります。
円形脱毛症の治療は健康保険が適応されます。
円形脱毛症は、その発生メカニズムはまだ完全には解明されていません。
しかし、落胆することはありません。
円形脱毛症は発症者の多い脱毛症です。
多くの臨床データがあります。
確実に治るという治療法はありませんが、ある程度は治療法が確立されています。
発症して初期の段階の単発型なら、相当高い確率で完治します。
単発型の段階で皮膚科医による適切な治療をうけれは、約80%の人が1年以内に治癒しているとのデータがあります。
全頭型や汎発(ばんぱつ)型まで進行してしまうと、完治するのは非常に難しくなります。
選択できる治療法も限られてきます。
円形脱毛症を治すためには、早期発見・早期治療が重要なのです。
皮膚科医や脱毛症の専門医が治療をするときに参考にする「円形脱毛症診療ガイドライン」というものがあります。
これは円形脱毛症の診療法を、その効果や安全度から、A~Dの5段階で評価したものです。
最高のA評価の治療法は、残念ながらありません。
次に評価の高いB評価の治療法は、「ステロイド局注」と「局所免疫法」です。
今回の記事で紹介する「ステロイド局注」は、現時点では最も効果の期待できる治療法のひとつです。
ただし、まったく効果がない場合もあります。
参照:ハゲ薄毛研究所
ステロイド局注とは、脱毛部分に、注射などによりステロイド剤を注入する治療法です。
「ステロイド注射」と言われることが多いです。
ステロイド局注は、成人で、脱毛部分が髪の毛の25%以下の人にしか適用されない治療法です。
個人差があるので一概には言えませんが、月に1回くらいのペースでおこない、治療期間は半年程度になります。
単発型の段階なら相当高い確率で効果があります。
ただし、100%ではありません。
通常は2週間~2か月程度で産毛が生えてくることが多いです。
産毛が生えてきたら、円形脱毛症の発症原因を抑制することができているという事なので、そのまま回復する可能性が高いです。
円形脱毛症の発症メカニズムは完全には解明されていません。
発症原因は複数あると考えられているのですが、そのなかでも「自己免疫疾患」が大きく関与していると言われています。
自己免疫疾患とは、本来は細菌やウイルスなどの外敵を攻撃するはずの免疫システムが誤動作をおこし、自分自身の体を攻撃してしまう病気です。
円形脱毛症の場合には、毛母細胞(もうぼさいぼう)や毛乳頭(もうにゅうとう)など発毛に必要な細胞が攻撃されることにより、脱毛症が発生します。
ステロイド剤とは、副腎でつくられる副腎皮質ホルモンを人工的につくった薬です。
副腎とは、腎臓の上にある臓器です。
2つあり、1つが5グラムくらいの小さな臓器になります。
上のイラストが副腎(ふくじん)になります。
ステロイド剤には、強力な免疫抑制作用と抗炎症作用があります。
ステロイド剤の免疫抑制作用が、毛母細胞や毛乳頭などを攻撃するリンパ球の働きを抑えます。
この作用により、発毛に必要な細胞が攻撃されなくなります。
更に、ステロイド剤の抗炎症作用が、細胞の損傷を引き起こす炎症を静めてくれます。
ステロイド剤は、円形脱毛症の複数の原因を解決してくれる薬なのです。
これが円形脱毛症の治療にステロイド剤が使われる理由です。
ただし、この治療法には欠点もあります。
ステロイド局注の効果があるのは、円形脱毛症の発症原因が自己免疫疾患か、自己免疫疾患が大きく関与している場合に限られます。
円形脱毛症でも、自己免疫疾患が関与していないケースもありえます。
そのような場合には、ステロイド局注の効果は期待できません。
副作用としては、注射した部分が陥没してしまうこともあります。
人によっては、強いステロイド剤を長期間(6か月〜数年)使った場合には、皮膚が薄くなることもあります。
最近ではかなり改善されてきましたが、それでも発生するリスクはあります。
また、実際にステロイド局注を受けた人の口コミには、「注射が痛い」という感想もありました。
これに関しても、今2017年11月現在では、かなり改善されてきました。
ステロイド局注は、脱毛部分が髪の毛の25%以下の円形脱毛症なら、現時点では1番効果的な治療法です。
更に研究を進めて、より良い治療法に改良してもらいたいものです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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