局所免疫法、円形脱毛症の「かぶれ治療」

髪の毛が薄くなったり、ハゲあがったりするのは、年をとってからと思っていませんか?

確かに、高齢になるほど薄毛率は高くなります。
しかし、若い人の方が発症率が高い脱毛症もあります。


髪の毛などが薄くなる症状のことを「脱毛症」と言います。
脱毛症にはいくつかの種類があり、それぞれに発症メカニズムが異なります。

AGA(男性型脱毛症)は発症者のほとんどが成人以降の男性です。
一方、びまん性脱毛症(女性型脱毛症)は、発症者のほとんどが中年以降の女性です。

円形脱毛症は、性別や年齢に関係なく誰でも発症する脱毛症ですが、若年者が発症しやすい脱毛症です。
発症者の約1/4は、15歳未満(小児科の対象年齢)というデータがあります。
円形脱毛症は若者がなりやすい脱毛症なのです。


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円形脱毛症とは、髪の毛などに円形や楕円形の脱毛部分ができる脱毛症です。
脱毛部分がはっきりしているのが特徴です。

円形脱毛症は、その発症原因が解明されていない脱毛症です。
「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」が主な原因と考えられているのですが、該当しない症例もあります。
アトピー素因やストレス、女性ホルモンの減少などが原因の場合もあると考えられています。

自己免疫疾患は、本来、異物を排除する役割の免疫が、間違って自分の正常な細胞や組織に対して攻撃してしまう病気です。

一般的な円形脱毛症は、体内に侵入したウイルスや細菌を排除する役目のリンパ球が、自分自身の細胞を攻撃することにより発生すると考えられています。
ただし、該当しない症例もあります。


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参照:東京遠景日記



円形脱毛症の治療は皮膚科でおこないます。
基本的には、「円形脱毛症診療ガイドライン」を参考に治療法が選択されます。



円形脱毛症診療ガイドラインとは、2010年に、円形脱毛症の治療に関わる医療従事者たちにより、その治療の効果・安全性を5段階(A~D)で格付けしたものです。

最高のA評価の治療法は現時点ではありません。

2番目に高い評価の治療は「ステロイド局注」と「局所免疫法」です。
この2つの治療法が、現時点では、最も効果のある治療法になります。

今回の記事は「局所免疫法」についてです。







局所免疫法とは、脱毛部分に、かぶれを発生させる物質をぬる治療法です。
よく、「かぶれ治療」と言われています。

「かぶれを発生させる物質」には、DPCP(ジフェニルサイクロプロペノン)かSADBE(スクアリックアシッドジプチルエステル)という物質を使用します。
これらは自然界には存在しない人工的につくられた物質です。


局所免疫療法の治療には、「感作成立」「判定」「継続」と3つの段階があります。


第一段階、感作成立(かんさせいりつ)

DPCP又はSADBEの2%溶液を、頭部の脱毛部に貼りつけます。
48時間ほどしたら、はがして、シャンプーや石鹸で洗い流します。
もし、途中で強烈なかゆみが発生したら、無理をせずに早めにはがし、処方されているローションを塗ります。
この時点では、まだ何も起こりません。

1週~2週間ほど経過すると、DPCPやSADBEを貼りつけた部分が赤く腫れてきます。
リンパ球が、DPCPやSADBEを敵と認識しました。
この状態を「感作成立」と言います。


第二段階、判定

感作成立が確認できてから、第二段階の「判定」に移ります。
すぐに開始することはせず、最初にDPCP又はSADBEをつけてから、2週~3週経過後に開始します。
治療に最適なDPCPやSADBEの濃度を判定する作業になります。

通常2万分の1という低濃度から外用を開始し、徐々に濃度を上げていきます。
少し痒みがでて、少量のフケが発生し、頭皮が薄く赤みを帯びるくらいが最適な濃度になります。


第三段階、継続

最適なDPCPやSADBEの濃度が決まったら、治療の効果があるのか判断をします。
効果があると判断した場合はそのまま治療を継続し、効果がないと判断した場合は治療を中止します。

円形脱毛症は、発症原因が解明されていない脱毛症です。
「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」が関与している場合が多いと言われているのですが、全く関与していない場合もあります。
局所免疫療法は、自己免疫疾患が関与していない円形脱毛症には効果がありません。

2週間~3週間に1度くらいのペースで、DPCPやSADBEをぬっていきます。
治療を継続するか中止するかの判断は、1か月~2か月後に行います。
発毛が始まっていれば、そのまま治療を継続します。


治療期間は状態により異なりますが、最低でも半年以上は必要と思って下さい。
1年以上かかるケースもよくあります。
局所免疫療法は根気のいる治療法です。


局所免疫療法の副作用には、やはり「かぶれ」があります。
アトピー性皮膚炎を持っている場合には、発生する可能性が高くなります。


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局所免疫法は、円形脱毛症の第一選択肢の治療法です。
現在、世界中で最も多くおこなわれている円形脱毛症の治療法になります。

子供でも、脱毛部分が多くても可能な治療法です。
有効率は60%以上と言われています。
治療費も、1回1,000円~1,500円程度と安いのも魅力のひとつです。


円形脱毛症は、特に早期発見・早期治療が重要な脱毛症です。
初期の単発型の状態なら、相当高い確率で完治することができます。

円形脱毛症は放置しておいても治ることもありますが、酷くなると完治をするのが非常に難しくなります。
なるべく早い段階で、皮膚科医に診断をしてもらって下さい。


最後まで読んで頂きありがとうございました。





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