薬局やドラッグストアだけでなく、ネットで販売されることも多くなってきました。
育毛剤には、外用薬(塗るタイプの育毛剤)と内服薬(飲むタイプの育毛剤)があります。
外用育毛剤には、エタノールが使用されている場合が多いです。
正確な数字はわかりませんが、男性用の外用育毛剤の60%、女性用の外用育毛剤の30%くらいには使用されていると思います。
数日前、近くのドラッグストアに行った時に調べたら、男性用の外用育毛剤12種類のうち、9種類にエタノールが使用されていました。
現在販売されている育毛剤のほとんどは、医薬品か医薬部外品に分類されます。
これらは通称「薬機法(やっきほう)」という法律により、その使用している成分を表示する義務があります。
薬機法の正式名称は、「薬事法等の一部を改正する法律及び薬事法等の一部を改正する法律」です。
医薬品や医薬部外品には、使用されている「成分」を表示する義務があります。
医薬品の場合は、更に「分量」を表示する義務があります。
育毛剤に使用されている成分は、上下の写真のように表示されています。
この上の写真は「カロヤン プログレ EX O」という第3類医薬品の外用育毛剤で、下の写真は「黄金樹a」という医薬部外品の外用育毛剤の成分表示になります。
エタノール=アルコールと思っている方もいますが、それは少し違います。
確かに、エタノールはアルコールです。
しかし、アルコールはエタノールとは限りません。
アルコールとは、ヒドロキシ基 (-OH) という構造をした化合物の総称です。
このなかに、メタノール(CH3-OH)やエタノール(C2H5-OH)、プロパノール(C3H7-OH)などがあります。
炭素の数により、いろいろな種類のアルコールがあります。
エタノールとは、アルコール類の一種です。
「エチルアルコール」や「酒精」とも言われています。
育毛剤によっては、「エタノール」と表示されていたり、「無水エタノール」と表示されていたりします。
一般的な表示の基準は以下のとおりです。
エタノールの表示方法
無水エタノール・・・濃度99.5%以上
エタノール・・・エタノール濃度95%前後
フェノキシエタノール・・・自然界に存在する成分
エタノールは、濃度が高いほど揮発性があります。
つまり、蒸発しやすいのです。
ついでになりますが、「精製水」とは、不純物の無い水のことです。
外用育毛剤にエタノールが使用されている主な理由は、以下のとおりです。
1.製品の品質保持
2.育毛剤の浸透力促進
3.頭皮の殺菌作用
まずは、製品の品質保持についてです。
育毛剤は開封すると劣化しやすくなります。
エタノールには防腐作用があるので、製品の品質劣化が遅くなるのです。
また、育毛剤には多くの他成分が含まれている場合がほとんどです。
その成分のなかには、水分や他の成分とうまく混ざらないものもあるのですが、エタノールにはそれらを溶かす作用があります。
育毛剤の品質をなるべく長く維持し、育毛剤に含まれている成分の効果を引きだすために、エタノールは必要なのです。
次は、育毛剤の浸透力促進についてです。
アルコールには脂分を溶かす(溶解させる)作用があります。
通常、頭皮は皮脂膜(ひしまく)により覆われています。
この皮脂膜により、頭皮は外部の刺激から守られています。
皮脂膜とは、皮脂と汗が混ざり合ってできるメチャ×2薄い膜のことです。
エタノールで皮脂膜を溶かすことにより、育毛剤の成分が頭皮の奥まで浸透しやすくなるのです。
最後に、頭皮の殺菌作用についてです。
エタノールは、頭皮に繁殖してしまった雑菌を殺菌してくれます。
また、頭皮の痒み(かゆみ)やフケに悩んでいた方が、エタノールが入った育毛剤を使うようになってから、状況が良くなったという事例もあります。
頭皮には多くの細菌がいるのですが、多すぎても、少なすぎても育毛に悪影響を与えます。
頭皮が脂っぽい方は細菌が多すぎることが多いので、エタノールによる殺菌により、頭皮環境が良くなる場合もあります。
外用育毛剤にエタノールを使うメリットは多いのです。
反面、頭皮のかぶれや痒み(かゆみ)などトラブルが発生することもあります。
特に乾燥肌は、エタノールの使用により頭皮の水分が失われやすくなり、余計に乾燥しやすくなってしまいます。
エタノールが入った育毛剤を使用してトラブルが発生したら、すぐに使用を中止して下さい。
残念ながら、その育毛剤とは相性が悪いということです。
エタノールには、メリットとデメリットの両方があります。
一般的には、メリットの方が大きいので成分として育毛剤に含まれていることが多いのです。
人によってはデメリットが大きくなる場合もありますが。
育毛剤は、脱毛症の種類と頭皮環境に合ったものを使う必要があります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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